電話やメールの『怪しいな』に気づくには ~高齢者のための詐欺対策の基本~
電話やメールを使った詐欺が、残念ながら増えています。大切な財産や個人情報が狙われており、多くの方が被害に遭われています。特に、デジタル機器の操作に慣れていない方や、一人暮らしで相談相手がすぐに近くにいない方は、不安を感じることも多いかもしれません。
この記事では、皆さまが安心して毎日を過ごせるよう、電話やメールの「怪しいな」に気づくためのヒントと、もし「怪しいな」と感じたときにどうすれば良いのか、その基本的な対処法を分かりやすくご説明します。
最近よくある詐欺の手口を知っておきましょう
詐欺の手口は巧妙になり、様々な種類があります。全てを知ることは難しいですが、代表的な手口を知っておくだけでも、いざというときの助けになります。
1. 家族や親戚を名乗る電話(オレオレ詐欺など)
「もしもし、俺(私)だけど」と始まる電話で、声を変えたり、風邪をひいた、事故を起こした、などと言って急にお金が必要になったと訴えかけ、お金を振り込ませようとします。家族だと信じ込ませてくるため、つい慌てて対応してしまう危険があります。
2. 公的機関や会社を名乗る電話やメール
役所、警察、銀行、税務署、最近では通信会社や通販サイトなどを名乗って連絡してくるケースです。 * 「医療費の還付金がある」と言ってATMの操作を指示する(還付金詐欺) * 「未払いの料金がある」「あなたの情報が漏れている」などと不安を煽り、お金を要求したり、個人情報を聞き出そうとする * 「当選しました」「お得な情報です」などと誘い、偽物のサイトに誘導してお金や情報をだまし取る(フィッシング詐欺など)
身に覚えがない内容や、急にお金の話が出てきた場合は、特に注意が必要です。
『怪しいな』と感じたときの5つのポイント
電話やメールを受け取ったときに、「これは何かおかしい」と感じる、いくつかの共通したサインがあります。これらのポイントを知っておくと、詐欺かもしれない、と気づくきっかけになります。
- 急かされる、焦らせようとする: 「今すぐ」「すぐに手続きしないと大変なことになる」「今日まで」など、考える時間を与えずに対応させようとします。
- 秘密にするように言われる: 「このことは誰にも言わないでください」など、家族や知人に相談させないように仕向けます。
- お金の話が出てくる: 電話やメールの相手から、お金を振り込む、電子マネーで支払う、カード情報を教えるといった要求があります。
- 身に覚えがない内容: 利用した覚えのないサービスの請求、応募した記憶のない当選通知、家族が事故を起こしたという突然の連絡など、思い当たることが全くない内容です。
- 連絡先が不明瞭、または一方的: 折り返しの電話番号が携帯電話だったり、メールアドレスがおかしい、一方的に送られてくるだけで返信ができない、といった場合もあります。
これらのポイントに一つでも当てはまる場合は、「怪しいな」と警戒心を持つことが大切です。
『怪しいな』と感じたら、こう対応しましょう
では、「怪しいな」と感じたり、詐欺の電話やメールかもしれないと思ったときに、具体的にどうすれば良いのでしょうか。
1. 一人で判断せず、まずは落ち着きましょう
詐欺犯は、皆さまを慌てさせたり、不安にさせたりして、冷静な判断ができない状況に追い込もうとします。電話がかかってきても、すぐに相手の言うことを信じ込まず、まずは落ち着いて話を聞きましょう。メールの場合は、すぐに返信したり、記載されたリンクをクリックしたりしないようにしましょう。
2. その場で決めたり、お金を払ったりしない
「今すぐ」と言われても、その場で判断したり、お金を払ったりすることは絶対にやめましょう。「後でこちらから連絡します」「家族に相談してから決めます」などと言って、一旦電話を切ったり、対応を保留したりする勇気が必要です。
3. 家族や信頼できる人に相談する
最も効果的な対策の一つは、一人で抱え込まず、すぐに家族や信頼できる友人・知人に相談することです。電話を切った後や、メールを見た後に、「こんな電話(メール)があったのだけれど」と話してみましょう。周りの人に話すことで、詐欺だと気づくケースが多くあります。
- あらかじめ、すぐに連絡できる家族の連絡先(電話番号)を手元に置いておきましょう。 スマホのアドレス帳だけでなく、紙に書いておくこともおすすめです。
4. 公的な相談窓口を活用する
「誰に相談すれば良いか分からない」「家族に心配をかけたくない」という場合は、公的な相談窓口があります。
- 警察の相談専用電話 #9110: 詐欺被害に遭いそうになった、怪しい電話があった、といった場合に相談できます。
- 消費生活センター: 商品やサービスに関するトラブル、悪質商法について相談できます。局番なしの「188」(いやや!)に電話すると、お住まいの地域の消費生活センターにつながります。
これらの窓口に相談することで、適切なアドバイスを受けることができます。
5. メールの場合、リンクや添付ファイルは開かない
怪しいメールに記載されているインターネットの住所(リンク)をクリックしたり、添付されているファイルを開いたりすると、ウイルスに感染したり、個人情報を盗まれたりする危険があります。内容が怪しいメールは、すぐに削除することが最も安全です。
まとめ
電話やメールの詐欺は他人事ではありません。しかし、少しの心構えと、いざというときの連絡先を知っておくだけで、被害に遭う可能性を大きく減らすことができます。
- 「急かされる」「秘密にするように言われる」「お金の話が出る」「身に覚えがない」 といったサインに注意しましょう。
- すぐに決めず、一人で対応しないことが大切です。
- 必ず、家族や信頼できる人に相談しましょう。
- 困ったときは、警察相談専用電話 #9110 や 消費生活センター 188 に相談してください。
これらの基本的な備えをしておくことで、皆さまが安心して過ごせる毎日を守ることができます。もし身近な方で不安を感じている方がいらっしゃいましたら、この記事で得た情報を共有していただくことも、大切な備えとなります。