もしもの断水に備える 高齢者にもできる非常用トイレの準備と使い方
もしもの断水に備える 高齢者にもできる非常用トイレの準備と使い方
自然災害が発生し、電気やガスだけでなく、水道が止まってしまうこともあります。水が使えなくなると、お風呂や洗濯だけでなく、トイレも使えなくなり、大変困ってしまいます。
特に、ご高齢の方はトイレを我慢することが健康に影響することもありますので、事前にしっかりと備えておくことが大切です。
この記事では、もしもの断水に備えて、ご自宅で使える非常用トイレの種類や、準備しておきたいもの、そして具体的な使い方について、分かりやすくご説明いたします。
なぜ非常用トイレが必要なのでしょうか
地震や台風、大雨などの災害で水道管が壊れたり、停電でポンプが動かなくなったりすると、水道が使えなくなります。ご自宅のトイレは、水を流すことで汚物を処理していますので、断水すると使えなくなってしまうのです。
マンションなどにお住まいの場合も、貯水槽から各戸へ水を送るポンプが停電で停止すると、断水することがあります。
断水が数日から数週間に及ぶこともありますので、その間のトイレをどうするか考えておく必要があります。非常用トイレは、水を使わずに排泄物を処理できるため、断水時でも衛生的にトイレを使うための大切な備えとなります。
非常用トイレの種類を知りましょう
非常用トイレにはいくつかの種類がありますが、ご家庭で使いやすいのは、凝固剤を使って排泄物を固めるタイプのものです。
凝固剤タイプ
洋式トイレの便器に専用の袋をかぶせて使います。排泄後、専用の凝固剤を振りかけると、水分を吸ってゼリー状に固まります。固まった排泄物は、袋ごと密閉して捨てることができます。
このタイプは、普段お使いのトイレをそのまま活用できるため、新しく場所を用意する必要がなく、高齢者の方でも座り慣れた姿勢で使える利点があります。セットになった商品が多く販売されていますので、準備も比較的簡単です。
その他には、携帯用トイレや組み立て式の簡易トイレなどもありますが、ご自宅で使う場合は凝固剤タイプが最も現実的で準備しやすい方法の一つです。
準備しておきたいものリスト
凝固剤タイプの非常用トイレを使うために、事前に準備しておきたいものをリストにしました。
- 非常用トイレセット 凝固剤と排泄物を受けるための袋、そして使用後に捨てるための処理袋などがセットになったものが便利です。必要な回数分(例えば1日に5回×家族の人数×備えたい日数)を計算して用意しておきましょう。
- 既存の洋式トイレ 普段お使いのものがそのまま使えます。
- なくても良いが、あると便利なもの
- バケツやポータブルトイレ: もし自宅のトイレが使えない場所にある場合や、複数の場所に用意したい場合に便利です。ホームセンターなどで手に入る普通のバケツでも代用できます。
- 目隠し: 廊下など別の場所に設置する場合、プライバシーを守るための目隠し(厚手の布や段ボールなど)があると安心です。
- トイレットペーパー 通常のトイレットペーパーで構いません。多めに備蓄しておきましょう。
- 消臭剤 トイレ周りのニオイが気になる場合に使用します。
- ウェットティッシュ、消毒液 手を清潔に保つために重要です。
- 懐中電灯 夜間や停電時に使用します。
これらのものは、非常用トイレセットとまとめて、すぐに持ち出せる場所や、トイレの近くに置いておくと良いでしょう。
非常用トイレの具体的な使い方(凝固剤タイプ)
準備ができたら、いざという時に慌てないように、使い方を確認しておきましょう。
- 設置の準備をする
- 既存の洋式トイレの便座を持ち上げます。
- 非常用トイレセットに入っている、排泄物を受けるための大きな袋を取り出し、便器全体を覆うようにセットします。袋の縁を便座の下に挟み込むようにすると安定します。
- もしバケツなどを使う場合は、バケツの中に袋をセットします。
- 使用する
- 袋をセットした上から、いつも通り便座に座って排泄します。
- トイレットペーパーを使用した場合も、そのまま袋の中に入れます。
- 凝固剤で固める
- 排泄が終わったら、非常用トイレセットに入っている凝固剤を全て、排泄物の上にまんべんなく振りかけます。
- 数分待つと、排泄物がゼリー状に固まります。
- 後片付けをする
- 排泄物が固まったら、袋の口をしっかりと縛ります。中の空気を抜きながら縛ると、よりコンパクトになります。
- 縛った袋は、セットに含まれている処理袋(消臭機能付きの袋など)に二重に入れ、さらに口をしっかりと縛って密閉します。
- 使用済みの非常用トイレは、すぐにはゴミとして収集されない可能性があります。自治体の指示があるまで、密閉した状態で風通しの良い場所に保管します。ニオイ対策として、さらに蓋つきのバケツなどに入れておくのも良い方法です。
- 次の準備をする
- 使用済みの袋を取り外したら、新しい袋と凝固剤をセットし直しておきます。
高齢者の方が使う上でのコツ
- 設置場所: 普段使い慣れているトイレを使うのが一番安心です。もし難しい場合は、段差がなく、手すりなどにつかまれるような場所にバケツなどを設置すると安全です。
- 高さ: バケツなどを使う場合、座面の高さが低すぎると立ち座りが大変になります。適切な高さの補助具などがあると良いかもしれません。
- ニオイ: 凝固剤である程度ニオイは抑えられますが、気になる場合は消臭剤を併用したり、使用後はすぐに密閉したりすることが大切です。
- 衛生的: 使用後は必ずウェットティッシュや消毒液で手を清潔にしましょう。
まとめ
断水は、災害時に生活を続ける上で大きな支障となります。特にトイレの問題は、健康や衛生に関わるため、事前に備えておくことが非常に重要です。
非常用トイレは、水が使えなくても衛生的にトイレを済ませるための有効な手段です。凝固剤タイプの非常用トイレセットを準備しておけば、いざという時にも落ち着いて対応できます。
この記事でご紹介した準備リストや使い方を参考に、ご自身の安心のために、できることから少しずつ備えを進めてみてはいかがでしょうか。ご家族とも共有しておくと、さらに安心に繋がります。