ご家族と「もしも」の備えを話し合う 最初の一歩の始め方
なぜ、ご家族と「もしも」の備えについて話すことが大切なのでしょうか
自然災害や感染症、デジタルを使った詐欺など、私たちの周りには様々な「もしも」のリスクがあります。ご自宅で一人で備えを進めることももちろん大切ですが、離れて暮らすご家族と、いざという時のことについて事前に話し合っておくことは、お互いの安心に繋がる、とても大切な備えの一つです。
「もしも」の話は、なんだか暗い話のように感じて、ご家族に切り出しにくいと思われるかもしれません。しかし、これは「不安になるため」ではなく、「いざという時にも安心して過ごせるように」するための、未来に向けた明るい話し合いです。少しの勇気をもって、最初の一歩を踏み出してみましょう。
まず、どんなことを話し合えば良いのでしょう
ご家族と話し合うべきことはいくつかありますが、難しく考えすぎる必要はありません。まずは、特に大切なことから少しずつ始めてみましょう。例えば、以下のような事柄です。
-
緊急時の連絡方法や安否確認のルール
- 災害時は電話が繋がりにくくなることがあります。そのような時、どのように連絡を取り合うか、事前に決めておくと安心です。
- 例えば、災害用伝言ダイヤル(171)や、インターネットを使った災害用伝言板(web171)の使い方をお互いに確認したり、特定のSNSやメッセージアプリで連絡を取り合うことを決めておくといった方法があります。
- また、「〇〇時までに連絡が取れなかったら、△△に連絡してみる」といった、安否確認のルールを決めておくことも有効です。
-
避難場所や集合場所について
- もしご自宅での生活が難しくなった場合、どこへ避難するか話し合っておきましょう。自宅避難が可能な場合、親戚の家、地域の避難所など、いくつかの選択肢があります。
- 避難所へ行くことになった場合、どこが最寄りの指定避難所なのか、そこまでどうやって行くかといった道のりも、体力や健康状態を考慮して確認しておくと良いでしょう。
-
大切な情報の共有
- ご自身の常備薬の種類や、かかりつけのお医者さんの連絡先、加入している保険の種類など、いざという時にご家族が知っておくと助かる情報があります。
- また、健康保険証やマイナンバーカード、通帳などの大切な書類の保管場所についても、伝えておくと安心です。これらの情報は、「もしもの時、家族に伝えたい 大切な情報のまとめ方ノート」などを活用して整理しておくと便利です。
話し合いを始める「最初の一歩」のヒント
さて、具体的にどのようなことを話せば良いか分かってきても、「いつ、どうやって切り出せば良いの?」と悩まれるかもしれません。ご家族との話し合いを始めるための、いくつかの優しいヒントをご紹介します。
-
テレビのニュースや地域の情報から話を広げる
- 台風や地震のニュースを見た時、「この前の台風、大変だったわね。もしこっちでも大きな災害があったら、どうしようかと思って」などと、ニュースをきっかけに自然に切り出してみましょう。
- 自治体からの防災情報や、地域の防災訓練のお知らせなども、話し合いのきっかけになります。「この間、役場からこんなお知らせが届いたのだけど、一緒に見てくれる?」と声をかけてみるのも良いでしょう。
-
「心配だから」「安心してほしいから」という気持ちを素直に伝える
- 難しい理由を並べるよりも、「お母さんは(お父さんは)あなたたちのことが心配だから、いざという時にどうすれば良いか、少し話しておきたいの」と、素直な気持ちを伝えることが、一番伝わりやすい方法かもしれません。
- また、「私も(僕も)安心して過ごしたいから、もしもの時のこと、一緒に考えてくれないかしら」とお願いする形で伝えてみるのも良いでしょう。
-
手紙やメッセージに添えてみる
- 直接話し合うのが照れくさい場合は、普段送っている手紙や、メール、メッセージのやり取りの中で、少しずつ触れてみる方法もあります。
- 例えば、「この間、地震があって少し心配になったから、もしもの時のために、連絡方法だけ確認しておかない?災害伝言ダイヤルって知ってるかしら」など、問いかける形で始めてみるのも一つです。
-
お中元やお歳暮、帰省などの機会に
- 年に数回、ご家族と顔を合わせる機会がある場合は、そのタイミングで少しだけ時間をもらって話してみるのが良いでしょう。
- 美味しいものを一緒に食べながら、「そういえばね…」と切り出すのも、和やかな雰囲気で話し始めるヒントになります。
-
「わたしの備えブック」の記事を一緒に見る・送る
- この記事のような情報サイトや冊子を見ながら、「ここに書いてあることで、気になったことがあってね」「こういうのがあるらしいんだけど、どう思う?」と、話題を提供するのも良い方法です。記事のリンクを送って、「これ読んでみてくれない?」とお願いするのも、デジタルに慣れているご家族には有効かもしれません。
全てを一度に決めなくても大丈夫
話し合いは、一度に全てを決めようとすると、お互いに疲れてしまうこともあります。まずは、連絡方法だけ、安否確認の方法だけ、といったように、テーマを一つに絞って話してみるのがおすすめです。一度話ができたら、次の機会にまた別のことについて話す、というように、焦らず、少しずつ進めていきましょう。
まとめ
ご家族と「もしも」の備えについて話し合うことは、お互いの安心にとって、とても大切な一歩です。難しく考えず、まずは「心配だから」「安心してほしいから」という素直な気持ちを伝えることから始めてみませんか。テレビのニュースや地域の情報など、身近な出来事をきっかけにするのも良い方法です。
話し合った内容は、忘れないようにメモに残したり、ご家族にもコピーを渡したりしておくと安心です。完璧を目指す必要はありません。できることから、あなたのペースで、ご家族と一緒に備えを進めていきましょう。