もし大きな地震が起きたら。ご自宅の電気・ガス・水道を安全に確認する方法
大きな地震が起きた後、揺れが収まってもすぐに安心できるわけではありません。建物や家具の安全だけでなく、電気、ガス、水道といったご自宅の設備が無事か、安全に使える状態かを確認することは、二次災害を防ぎ、その後の生活を続ける上で大変重要です。
特に、ご自宅で過ごされる場合や、復旧までの間を自宅で乗り切るためには、これらの設備の状態を把握しておく必要があります。ここでは、高齢の方でも落ち着いて、無理なくできる範囲での確認方法と注意点についてご説明します。
なぜ自宅設備の確認が必要なのか
地震によって電気の配線が損傷したり、ガス管が破損したり、水道管から水漏れしたりすることがあります。これらの損傷に気づかずに使用を続けると、火災やガス漏れ事故、さらには建物のさらなる損傷につながる可能性があります。
安全を確保し、被害を最小限に抑えるためにも、落ち着いて以下のポイントを確認するようにしましょう。
1.電気の確認と注意点
地震の揺れでブレーカーが落ちたり、電気が止まったりすることがあります。電気が止まること自体は安全のためですが、復旧させる前に確認が必要です。
確認すること:
- ブレーカーの位置: ご自宅の分電盤(ブレーカーが集まっている場所)の場所を把握しておきましょう。通常は玄関近くや洗面所などにあります。
- 周囲の安全: ブレーカー周辺に燃えやすいものがないか、漏電のサイン(焦げ臭い匂いや煙など)がないか確認します。
- 電気製品の状態: 地震で落下したり、コードが損傷したりした電気製品がないか確認します。
安全に復旧させる手順:
- 全てのブレーカーを切る: 大きなメインブレーカーを含む全てのブレーカーを「切」の状態にします。
- 安全確認: 家の中の電気コードやプラグに損傷がないか、コンセントから抜けているものはないかなど、危険な箇所がないか改めて確認します。特に、家具の下敷きになったコードや、水に濡れた可能性のある家電には注意が必要です。
- メインブレーカーを入れる: 安全が確認できたら、まずメインブレーカーを「入」にします。
- 分岐ブレーカーを一つずつ入れる: 各部屋や場所ごとの小さなブレーカー(分岐ブレーカー)を、一つずつゆっくりと「入」にしていきます。
- 異常がないか確認: ブレーカーを入れるたびに、異音や焦げ臭い匂いなどがしないか注意します。もし、特定のブレーカーを入れるとすぐに落ちる場合や、異常を感じた場合は、その系統で漏電などの問題が起きている可能性があります。
【重要】 ブレーカーを入れても電気がつかない場合や、異常を感じた場合は、無理に復旧させようとせず、電力会社に連絡し、専門家の点検を依頼してください。
2.ガスの確認と注意点
地震の揺れを感じると、ガスメーター(マイコンメーター)が自動的にガスを止めることがあります。これは安全装置が働いたためです。
確認すること:
- ガスの匂い: 家の中でガス臭がしないか確認します。卵の腐ったような匂いがしたら、ガス漏れの可能性があります。
- 異音: シューッというガスが漏れるような音がしないか確認します。
- ガスメーター(マイコンメーター)の位置: ご自宅のガスメーターの場所を確認しておきましょう。多くは玄関の外やベランダなどにあります。
ガス漏れの可能性がある場合:
- 絶対に火を使わない: ライター、マッチ、コンロの使用はもちろん、電気のスイッチのオンオフも火花が散る可能性があるため危険です。懐中電灯を使用しましょう。
- 窓を開けて換気: 可能な限り窓や扉を開けて、ガスを外に逃がします。
- ガス会社に連絡: 安全な場所からすぐにガス会社に連絡し、点検を依頼してください。
ガスが止まった場合の復旧方法(マイコンメーターの復帰):
ガス漏れの心配がなく、安全が確認できた場合は、ガスメーター(マイコンメーター)を自分で復帰させることができます。マイコンメーターには赤いランプが点滅していることがあります。
- 全てのガス器具の栓を閉める: コンロや給湯器など、全てのガス器具のスイッチを切り、元栓も閉めます。
- ガスメーターの復帰ボタンを押す: ガスメーター本体にある黒いボタン(復帰ボタン)を奥までしっかり押して、ゆっくりと手を離します。
- 約3分待つ: メーターの赤いランプが点滅した後、数分間点検が行われます。ランプが消えたらガスが使えるようになります。
【重要】 復帰操作をしてもガスが使えない場合や、再びガスが止まる場合は、ガス管に異常がある可能性があります。絶対に無理な操作をせず、ガス会社に連絡してください。不安な場合は、自分で操作せずガス会社の指示に従うのが最も安全です。
3.水道の確認と注意点
地震の揺れで水道管が破裂したり、接続部分が外れたりすることがあります。
確認すること:
- 蛇口からの水: 各所の蛇口から水が出るか確認します。
- 水漏れのサイン: 壁や床が濡れていないか、天井から水が垂れていないか、普段聞こえない水の流れるような異音がしないか確認します。
- 敷地内のメーターボックス: ご自宅の敷地内にある水道メーターボックス周辺に水が溜まっていないか確認します。
水漏れの可能性がある場合:
- 止水栓を閉める: メーターボックス内にある止水栓や、宅内の元栓を閉めて、一時的に水の供給を止めます。止水栓の場所が分からない場合は、無理に探さず、まず水の被害が広がらないように対処します。
- 水道局に連絡: 水漏れしている箇所がある場合は、水道局または指定給水装置工事事業者へ連絡し、修理を依頼してください。
【重要】 断水している場合や、水道管に損傷が見られる場合は、無理に水を使おうとせず、水道局からの情報を待つか、問い合わせて状況を確認してください。
確認を行う上での共通の注意点
- 安全第一: 確認作業中に余震が来る可能性もあります。周囲の状況に十分注意し、落下物などに気をつけてください。
- 無理はしない: 体力に自信がない場合や、危険を感じる場所の確認は無理に行わないでください。
- 懐中電灯を使用: 暗い場所での確認には、安全のため懐中電灯を使用しましょう。
- 記録をつける: どこでどのような異常があったかメモしておくと、専門家へ連絡する際に役立ちます。
- 専門家へ相談: 少しでも不安を感じたり、自分で対処できないと感じたりした場合は、迷わず各供給会社(電力会社、ガス会社、水道局)や専門業者に連絡してください。
まとめ
大きな地震の後、ご自宅の電気、ガス、水道の安全確認は、その後の生活を安全に送るためにとても大切です。慌てずに、ここでご紹介した手順を参考に、できる範囲で確認を進めてみてください。
もしもの時に備え、ご家族や近所の方と、ガスメーターやブレーカーの場所などを事前に共有しておくことも助けになります。
ご自身の安全と、大切なご自宅を守るために、落ち着いた行動を心がけましょう。