もしもの時、あわてない。自宅で数日過ごすための水と食料の備え方
なぜ自宅での備蓄が必要なのでしょうか
自然災害は、いつ私たちの身に降りかかるか分かりません。地震や台風、大雨などにより、電気が止まったり、水道が使えなくなったり、お店から食料品がなくなってしまうこともあります。
もしもの時、すぐに避難所へ移動することが難しい場合もあるかもしれません。ご高齢の方や、体に不安がある方にとって、住み慣れた自宅で安全に過ごすことは、大きな安心につながります。そのためには、自宅で数日間過ごせるように、水や食料などをあらかじめ準備しておくことが大切です。
この備えがあれば、いざという時も少し落ち着いて行動できるでしょう。ここでは、ご自宅で無理なくできる水と食料の備蓄について、分かりやすくお伝えします。
どれくらいの量を用意すれば良いのでしょうか
国は、大規模な災害が発生した場合に備え、最低3日分、可能であれば1週間分の水と食料を家庭で備蓄することを推奨しています。
ご自身の体の状態や、ご自宅の状況に合わせて、まずは3日分から始めてみるのはいかがでしょうか。一度に全てを準備する必要はありません。少しずつでも、備蓄を始めることが大切です。
備蓄するもの(水)
飲み水は、私たちの命を支える最も大切なものです。
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必要な量の目安 一人あたり1日に3リットルが目安と言われています。これは、飲むだけでなく、調理にも使う量を含みます。3日分であれば一人9リットル、1週間分であれば一人21リットルが目安となります。
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どのような水を備蓄するか 市販されているペットボトルの水が、長期保存が可能で便利です。水道水でも良いのですが、その場合は清潔な容器に入れ、3日程度で入れ替える必要があります。ペットボトルの水は、未開封であれば長期間保存できます。
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保管場所 直射日光の当たらない、涼しい場所に保管してください。玄関や押し入れ、床下収納などが考えられます。いざという時にすぐに持ち出せる場所にあると良いのですが、重いので、無理のない場所に置くことが大切です。
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賞味期限の管理 ペットボトルの水には賞味期限が記載されています。賞味期限が切れる前に、普段の飲み水として使い、新しく購入したものを備蓄する「ローリングストック」という方法がおすすめです。マジックで保管場所に日付を書いておくと管理しやすくなります。
備蓄するもの(食料)
食料は、電気が止まっても、ガスが使えなくても食べられるものを選ぶのがポイントです。
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どのような食料が適しているか
- 常温で保存できるもの: 缶詰(魚、野菜、肉など)、レトルト食品(ごはん、おかゆ、カレー、煮物など)、インスタント麺、カップ麺。
- 調理が不要か、簡単にできるもの: レトルトごはんやお粥は温めなくても食べられます。缶詰もそのまま食べられます。
- 栄養補助食品: カロリーメイトや栄養バーなども手軽に栄養が取れます。
- お菓子: 甘いものは疲れを癒やしてくれます。保存のきくクッキーやチョコレートなど。
- 乾物: 干ししいたけ、高野豆腐、乾麺(うどん、そば、パスタなど)も長期保存できます。
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高齢者の方におすすめの食料
- 噛む力や飲み込む力が気になる場合は、お粥、缶詰のフルーツ、ゼリー飲料、柔らかいレトルト食品などが良いでしょう。
- 温かいものが食べたい時のために、カセットコンロとガスボンベがあれば、レトルト食品を温めたり、お湯を沸かしてカップ麺を作ることもできます。ただし、使う時は必ず換気を十分に行ってください。
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必要な量の目安 ご自身の食欲や好みに合わせて、飽きがこないようにいくつかの種類を組み合わせるのがおすすめです。3日分であれば、1日3食として9食分+αを目安に、主食(ごはん、麺など)と、おかずや栄養補助食品を考えましょう。
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アレルギーや持病への配慮 アレルギーがある方や、糖尿病などで食事制限がある方は、ご自身の体調に合ったものを必ず備蓄してください。
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保管場所と賞味期限の管理 水と同様に、直射日光を避けて涼しい場所に保管し、定期的に賞味期限を確認して、古いものから使っていく「ローリングストック」を行いましょう。
備蓄と一緒に準備しておくと便利なもの
水や食料の他にも、いくつかあると役立つものがあります。
- カセットコンロとガスボンベ: 温かい食事ができます。(換気必須)
- ラップ、アルミホイル: お皿に敷けば洗い物を減らせます。
- 使い捨ての食器、箸、スプーン: 水が使えない時に便利です。
- ウェットティッシュ、消毒ジェル: 手や体を拭いたり、衛生を保つのに役立ちます。
- トイレットペーパー、携帯トイレ: 断水時やトイレが使えなくなった場合に備えます。
- 常備薬、お薬手帳、おくすり説明書: 普段飲んでいる薬は切らさないように備蓄リストに加えましょう。
- ラジオ、懐中電灯、予備の電池: 情報収集や明かりの確保に必要です。
非常持ち出し袋に入れているものと重複することもありますが、自宅に置いておく用としても準備しておくと安心です。
備蓄を始める第一歩
「全部揃えるのは大変そう…」と感じるかもしれませんが、まずは水だけでも、あるいは普段の買い物ついでに長期保存できる食品を1〜2品余分に買うことから始めてみてはいかがでしょうか。
- まずは3日分の水(ペットボトル)を確保する
- お気に入りのレトルト食品や缶詰をいくつか買ってみる
- 買い物の時に、賞味期限の長いものを意識して選んでみる
このように、小さな一歩から始められます。準備ができたら、どこに何を置いたか、簡単なリストを作っておくと、もしもの時に分かりやすいでしょう。
まとめ
ご自宅での水と食料の備蓄は、もしもの時にご自身と大切な家族を守るための大切な準備です。体力に自信がない方でも、無理のない範囲で少しずつ備えることができます。
「もしもの時、あわてない」ために、今日からできる備えを始めてみませんか。定期的に備蓄品を確認し、安心して過ごせるように準備を進めていきましょう。