わたしの備えブック

もしもの時、自宅のトイレが使えなくなったら 高齢者のための備えと工夫

Tags: 災害, トイレ, 高齢者, 備え, 防災, 自宅避難

災害で困らないために 自宅のトイレが使えない時の備え

大きな地震や台風、大雨などの災害が発生すると、水道が止まってしまったり、下水道の設備が壊れてしまったりして、自宅のトイレが使えなくなることがあります。これは、生活の中でも特に困ることの一つです。

特に高齢の方は、若い方と比べて体力に不安があったり、頻繁にトイレに行きたくなったりすることもあるため、事前の備えがとても大切になります。このページでは、もしもの時に自宅のトイレが使えなくなった場合の具体的な対策と、高齢の方が安心して過ごすための工夫をご紹介します。

なぜトイレが使えなくなるのでしょうか

災害によってトイレが使えなくなる主な原因は二つあります。

一つ目は、水道が止まることによる「断水」です。水が流せないため、トイレを使うことができません。

二つ目は、下水道の配管が壊れてしまうなど、「排水設備に問題が起きる」場合です。この場合は、たとえ水道が出ていても、流した汚水が適切に処理されず、逆流するなどの危険があるためトイレの使用を控える必要があります。

どちらの場合も、普段通りにトイレを使うことができなくなります。

もしもの時に備える「非常用トイレ」の準備

トイレが使えなくなった時に最も役立つのが「非常用トイレ」です。様々な種類がありますが、準備しておくと安心です。

1. 非常用トイレの種類を知る

非常用トイレには、主に以下のような種類があります。

ご自宅の状況や使いやすさを考えて選びましょう。特に高齢の方は、座り慣れた洋式便器にセットして使うタイプが使いやすいかもしれません。

2. どれくらいの数が必要?

非常用トイレは、一人あたり1日に5回程度使用すると想定して備えるのが一般的です。例えば、ご夫婦お二人の場合、1日に10回分必要になります。

最低でも3日分(一人あたり15回分)、できれば1週間分(一人あたり35回分)を備えておくと安心です。人数分×回数を計算して、必要なセット数を準備しましょう。

3. 保管場所の工夫

非常用トイレは、すぐに取り出せる場所に保管しておくことが大切です。トイレの近くや、すぐに手が届く収納場所が良いでしょう。水に濡れないように、しっかりとした袋や箱に入れて保管してください。使用期限がある場合は、定期的に確認し、新しいものと入れ替えるようにしましょう。

安心のためのトイレ周辺の工夫

非常用トイレをより安全に、快適に使うための工夫もご紹介します。

衛生用品も忘れずに準備しましょう

トイレの問題は、衛生状態の悪化にも繋がります。感染症などを防ぐためにも、以下の衛生用品を一緒に備えておきましょう。

トイレを使う時の具体的な手順(凝固剤タイプの場合)

洋式便器に凝固剤と袋をセットして使うタイプの基本的な手順です。

  1. 洋式便器の中に、汚物を受け止めるための大きな袋(例えば、二重にした厚手のゴミ袋)をセットします。便器全体を覆うようにかけ、ずれないように固定します。
  2. その上に、非常用トイレ専用の排泄物処理袋をセットします。
  3. 用を足した後、排泄物の上に凝固剤をふりかけます。凝固剤は排泄物を素早く固め、臭いを抑える役割があります。
  4. 使用済みの処理袋を丁寧に外し、中の空気を抜いてしっかりと口を閉じます。臭いが漏れないよう、さらに厚手のゴミ袋に入れて二重にするとより安心です。
  5. 指定された収集場所や方法がある場合はそれに従います。ない場合は、自治体の指示が出るまで安全な場所に保管します。
  6. 使用後は、必ずウェットティッシュやアルコール消毒液で手指をしっかり消毒しましょう。

水分補給は我慢しないでください

トイレのことが心配で、水分を摂るのを控えてしまう方がいらっしゃいますが、これは非常に危険です。特に高齢の方は、脱水症状を起こしやすいため、普段通り、あるいは普段以上に意識して水分を摂ることが大切です。

非常時であっても、水分補給は健康維持のために欠かせません。非常用トイレが準備してあれば、安心して水分を摂ることができます。

まとめ:日頃からの備えが安心に繋がります

災害はいつ起こるか分かりません。もしもの時に、自宅のトイレが使えなくなっても慌てずに済むよう、非常用トイレや必要な衛生用品を準備しておくことは、ご自身とご家族の安心を守る大切な備えです。

今回ご紹介した内容を参考に、できることから少しずつ準備を進めてみてください。日頃の備えが、いざという時の大きな助けとなります。