もしもの暑さに備える 高齢者のための熱中症対策
もしもの暑さに備える 高齢者のための熱中症対策
夏が近づき、日差しが強くなると心配になるのが熱中症です。熱中症は、気温や湿度が高い環境で体温調節ができなくなり、体に様々な不調が起こる状態を指します。特に高齢者の方は、体の変化から熱中症になりやすいといわれています。
「もしも」の暑さに備えて、ご自身や大切なご家族を守るために、日頃からどのような準備や対策ができるかを知っておくことはとても大切です。
この記事では、高齢者の方に知っていただきたい熱中症の基本的な知識と、ご自宅や外出先でできる具体的な対策について、分かりやすくご説明します。
なぜ高齢者は熱中症になりやすいのでしょうか
高齢者の方が熱中症になりやすいのには、いくつかの理由があります。
- 暑さを感じにくくなる: 年齢とともに、体温を感知する機能が少しずつ衰え、暑さや湿度を感じにくくなることがあります。そのため、知らず知らずのうちに体に熱がこもってしまうことがあります。
- 体の水分が少なくなる: 高齢になると、体全体の水分量が減少しがちです。また、のどの渇きを感じにくくなるため、水分補給が十分に行われないことがあります。
- 汗をかきにくくなる: 汗は体の熱を外に逃がすための大切な働きをしますが、高齢になると汗をかく機能が衰えることがあります。
- 病気の影響: 持病のある方や服用しているお薬によっては、熱中症になりやすくなる場合があります。
- エアコンなどを我慢してしまう: 電気代を気にするあまり、エアコンの使用を控えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
このような理由から、自分では大丈夫と思っていても、気づかないうちに熱中症が進んでしまうことがあります。
ご自宅でできる熱中症対策の備え
熱中症を防ぐためには、まず過ごす時間の長いご自宅での環境を整えることが重要です。
お部屋の温度・湿度を調整する
- エアコンを上手に使いましょう: 我慢せずにエアコンを使用し、室温が28度を超えないように調整することをおすすめします。扇風機を併用すると、冷たい空気が循環しやすくなり、効率よく涼しく過ごせます。
- 無理のない範囲で換気を: 定期的に窓を開けて空気の入れ替えをしましょう。ただし、外の空気が部屋より暑い場合は、かえって室温を上げてしまうことがありますので注意が必要です。
- 日差しを防ぐ工夫: すだれや遮光カーテンを使って、窓から入る強い日差しを和らげましょう。
水分補給をこまめに行う
- のどが渇く前に飲む: のどが渇いたと感じた時には、すでに体は水分不足になり始めています。時間を決めるなどして、意識的にこまめに水分を摂るようにしましょう。
- 何を飲むか: 水やお茶(カフェインの少ない麦茶などがおすすめです)が良いでしょう。大量に汗をかいた時は、スポーツドリンクや経口補水液で塩分や糖分も補給すると効果的です。ただし、持病などで水分制限がある場合は、医師にご相談ください。
- 枕元にも水分を: 寝ている間にも汗をかき、体から水分が失われます。夜寝る前や、目が覚めた時にすぐに飲めるよう、枕元に飲み物を置いておくと安心です。
体を冷やす工夫
- 涼しい服装: 吸湿性や速乾性のある、風通しの良い服装を選びましょう。
- 体を冷やすグッズの活用: 首や脇の下、足の付け根など、太い血管が通っている部分を冷やすと、体全体の温度を効率的に下げられます。保冷剤や冷たいタオルなどを活用してみましょう。
外出する際の注意点と備え
どうしても暑い時間帯に外出する必要がある場合は、次の点に注意しましょう。
外出時のチェックリスト
- 時間帯を選ぶ: 比較的涼しい午前中の早い時間や、夕方以降を選ぶようにしましょう。
- 日差しを避ける: 帽子をかぶったり、日傘を使ったりして、直射日光が体に当たらないように工夫しましょう。
- 涼しい場所を選ぶ: 用事を済ませる場所までは、できるだけ日陰を選んで歩いたり、休憩できる場所を確認しておくと安心です。
- 飲み物を持っていく: 必ず飲み物を持って出かけ、こまめに水分補給をしましょう。凍らせたペットボトルや水筒は、体を冷やすのにも役立ちます。
- 無理をしない: 少しでも体調がおかしいと感じたら、無理せず涼しい場所で休憩をとるか、早めに帰宅しましょう。
熱中症の体のサインに気づく
ご自身の体の小さな変化に気づくことが、熱中症の早期発見・早期対応につながります。
熱中症の初期サインの例
- めまいや立ちくらみがする
- 汗が止まらない、または、汗をかかなくなる
- 体がだるい、力が入らない
- 頭がズキズキ痛む
- 吐き気がする
このようなサインに気づいたら、すぐに涼しい場所に移動し、水分補給をしましょう。首元などを冷やすのも効果的です。
もしもの時 熱中症かな?と思ったら
もしご自身や周りの方が、顔が赤くて熱い、意識がはっきりしない、体を触ると熱い、などの重い症状が見られる場合は、すぐに救急車を呼んでください(119番)。
救急車が到着するまで、できるだけ涼しい場所へ移動させ、衣服をゆるめて体を楽にさせてあげてください。意識がある場合は、水分を少しずつ飲ませてください。体に水をかけたり、うちわなどで扇いだりして体温を下げることも大切です。
家族や周りの方との声かけ
離れて暮らす家族がいる場合は、電話などで連絡を取り合い、お互いの体調を確認し合うことをおすすめします。地域の見守りサービスや、近所の方との声かけも、熱中症から高齢者を守るためにとても心強い助けとなります。
まとめ
熱中症は、適切な知識と備えがあれば防ぐことができるものです。
今日からできる、ご自宅の温度管理やこまめな水分補給、外出時の工夫など、小さなことから始めてみましょう。
もしもの暑さに備えて、しっかりと準備をすることで、安心して夏を過ごすことができます。何か心配なことがあれば、ご家族や地域の方、かかりつけの医師などに相談してみてください。
ご自身のペースで、できることから備えを進めていきましょう。