電話で「怪しいな」と思ったら 高齢者のための具体的な対応と相談先
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近年、高齢の方を狙った電話を使った詐欺が多く発生しています。ご自宅にかかってきた電話で、「いつもと違うな」「何か変だな」と感じた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、そうした不審な電話から大切な財産や個人情報を守るために、「怪しいな」と思った時にどのように対応すれば良いのか、具体的なステップと、いざという時の相談先をご紹介します。不安な気持ちを少しでも減らし、落ち着いて対応できるよう、一緒に確認していきましょう。
なぜ、高齢の方が狙われやすいのでしょうか
電話を使った詐欺の手口は巧妙になっており、人の親切心や焦りの気持ちにつけ込んできます。特に高齢の方は、ご家族を大切に思う気持ちや、社会的な変化への対応の難しさから、詐欺犯に狙われやすい傾向があると言われています。
警察官や市役所の職員、銀行員などを名乗ったり、離れて暮らす息子さんやお孫さんになりすましたりして電話をかけてきます。
主な手口としては、
- お金の話: 「風邪をひいて声が変わったけど息子だよ」「会社の書類をなくしてお金が必要になった」「あなたの口座が犯罪に使われている」などと言って、お金を振り込ませようとしたり、自宅まで取りに来ようとしたりします。
- 個人情報の聞き出し: 家族構成、貯金の額、資産の状況などを聞き出そうとします。
- キャッシュカードや通帳の話: 「古いカードは使えなくなる」「交換が必要だ」などと言って、キャッシュカードや通帳をだまし取ろうとします。
突然、このような電話がかかってくると、誰でも驚き、慌ててしまうものです。しかし、慌てず、落ち着いて対応することが大切です。
電話で「怪しいな」と思ったら、まずは落ち着いてください
もし、電話の相手が名乗った名前や話の内容に、少しでも「おかしいな」「怪しいな」と感じることがあったら、すぐに相手の言う通りに行動せず、一旦立ち止まって考えることが非常に重要です。
そして、最も大切なことは、すぐに電話を切るということです。
詐欺犯は、あなたが考える時間を与えないように、矢継ぎ早に話をしたり、不安を煽ったりしてきます。一度電話を切って冷静になる時間を作ることで、だまされることを防ぐ可能性が大きく高まります。
具体的な対応ステップ
電話で「怪しいな」と思ったら、以下のステップを試してみてください。
ステップ1:落ち着いて相手の話を聞く
- 相手が誰を名乗っているか、どのような用件かを聞きます。
- すぐに相手を信用したり、個人的な情報を話したりしないようにします。
- 「少し考えさせてください」「後ほどこちらからかけ直します」などと言って、一度電話を終えることを目指します。
ステップ2:きっぱりと電話を切る
- これが最も効果的な防衛策です。「結構です」「改めてこちらから連絡します」などと言って、電話を切ります。
- 相手がしつこく引き止めようとしても、対応する必要はありません。電話を切ってしまって構いません。
ステップ3:電話の相手が本人か確認する
- 電話を切った後、落ち着いてから、本当に相手が名乗った本人なのか確認します。
- 家族を名乗っていた場合は、相手が使ってきた番号ではなく、あなたが知っている家族の電話番号にかけ直して確認します。
- 市役所や銀行などを名乗っていた場合は、相手が教えた連絡先ではなく、自分で調べた市役所や銀行の正式な電話番号にかけ直して確認します。
ステップ4:迷ったり不安な時は、誰かに相談する
- 「やっぱり怪しい」「どうしたらいいか分からない」と感じたら、一人で抱え込まず、必ず誰かに相談してください。
- 信頼できるご家族やご友人、または専門の相談窓口に連絡してみましょう。
いざという時の相談先を知っておきましょう
「怪しいな」と思ったら、すぐに相談できる場所を知っておくことは、とても心強い備えになります。
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警察相談専用電話「#9110(シャープきゅういちいちまる)」
- これは、事件や事故ではないけれど、警察に相談したいことがある時に利用できる電話番号です。お住まいの地域を管轄する警察本部の相談窓口につながります。
- 電話をかけて、「不審な電話があったのですが」と状況を伝えてみてください。
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消費者ホットライン「188(いやや!)」
- これは、消費生活に関するトラブルについて相談できる全国共通の電話番号です。最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口につながります。
- 電話詐欺も消費生活に関わる問題ですので、こちらでも相談することができます。
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お住まいの市区町村の窓口
- 地域によっては、高齢者のための相談窓口や、防犯に関する相談窓口を設けている場合があります。地域広報誌や自治体のウェブサイトで確認してみましょう。
これらの相談先は、匿名でも相談できる場合があります。一人で悩まず、専門家や信頼できる人に話を聞いてもらうことが、被害を防ぐための一番のステップです。
日頃からできる備え
不審な電話への備えとして、日頃からできることもあります。
- 留守番電話機能を活用する: 自宅の電話を留守番電話に設定しておくと、見慣れない番号からの電話には直接出ないようにすることができます。本当に用事がある相手なら、メッセージを残すはずです。メッセージを聞いて、誰からの電話か確認してからかけ直すようにしましょう。
- ご家族と相談先を決めておく: 離れて暮らす家族と、「もし不審な電話があったら、まずこの番号に電話しようね」といったルールを決めておくと安心です。
- 慌てない心構えを持つ: 「もしかかってきたら、すぐに切る!」と、事前に心の中で決めておくだけでも、いざという時に落ち着いて対応しやすくなります。
まとめ
不審な電話の手口は日々変化しますが、その根底にあるのは、相手を慌てさせて冷静な判断力を奪おうとする点です。
「電話で『怪しいな』と思ったら、まず電話を切る」という行動を知っているだけで、被害に遭うリスクを大きく減らすことができます。そして、一人で判断せず、ご家族や相談窓口に頼ることをためらわないでください。
この記事でご紹介した情報が、皆様の安心な暮らしのための備えとなることを願っております。