高齢者でも安心 インターネット通販の安全な利用方法
はじめに:インターネット通販の便利さと潜むリスク
インターネット通販は、ご自宅にいながら様々な商品を購入できるため、とても便利です。重いものやかさばるものも玄関まで届けてもらえますし、お店まで行く体力に自信がない方にとっても大変助かる仕組みです。
しかし、残念ながらインターネットの世界には、私たちをだまそうとする悪意を持った人も存在します。本物そっくりの偽サイトでお金をだまし取ったり、個人情報を盗み取ったりするケースも報告されています。
この記事では、高齢者の方が安心してインターネット通販を利用するために、どのような点に注意すれば良いのか、具体的な方法や見分け方をご紹介します。難しい操作は必要ありませんので、一つずつ確認しながら、安全にインターネットでのお買い物を楽しんでいただければ幸いです。
安全な通販サイトを選ぶための基本的な注意点
インターネット上には数えきれないほどの通販サイトがあります。中には悪質なサイトも紛れ込んでいることがありますので、安心して利用できるサイトを見分けることが大切です。
1. 有名な大手サイトや、普段から利用しているお店を選ぶ
初めて利用するサイトよりも、テレビCMで見かけるような大手の通販サイトや、実店舗でもよく知っているお店が運営しているサイトを選ぶのがおすすめです。大手サイトはセキュリティ対策もしっかりしている場合が多く、トラブルが起きた際の対応も期待できます。
2. サイトのURL(インターネット上の住所)を確認する
インターネット通販サイトを訪れる際は、ブラウザの上部などに表示されている「URL」をよく確認しましょう。URLは、そのサイトのインターネット上の住所のようなものです。
- 正しいURLの例:
https://www.example.com
- 注意すべきURLの例:
https://www-example.com.shop.xyz
のように、有名なサイト名に余計な文字がついていたり、全く関係のない文字列が混ざっていたりする場合。
特に、メールや広告からサイトにアクセスする際は注意が必要です。本物そっくりの偽サイトに誘導されている可能性があります。不安な場合は、メールのリンクをクリックするのではなく、ご自分でブラウザを開いて、知っているURLを直接入力して検索するのが最も安全です。
3. URLの始まりが「https」になっているか確認する
安全なウェブサイト、特に個人情報やクレジットカード情報を入力する可能性のあるサイトでは、URLが「http
」ではなく「https
」で始まっているのが一般的です。この「s」は「secure(安全)」を意味し、情報をやり取りする際に暗号化されることを示しています。
ブラウザのアドレスバーに鍵のマーク(🔒
)が表示されていることも、安全な接続の目安になります。もし「http」で始まっている場合や、鍵マークがない場合は、個人情報の入力は避けた方が安全です。
4. サイトの運営者情報を確認する
信頼できる通販サイトには、会社の名称、住所、電話番号、代表者名などが必ず記載されています。これらの情報がサイトのどこか(たいていはサイトの下部や「会社概要」「特定商取引法に基づく表示」といったページ)に明記されているか確認しましょう。情報が全く載っていない、あるいは連絡先がメールアドレスしかないといったサイトは要注意です。
5. 不自然な日本語や誤字脱字が多いサイトは避ける
偽サイトの中には、海外で作られたためか、日本語がおかしかったり、明らかな誤字脱字が多かったりする場合があります。このような不自然な表現が多いサイトも、信頼性が低いと考えられます。
支払い方法を選ぶ際の注意点
インターネット通販での支払い方法は様々ですが、ご自身の状況に合わせて、より安全だと感じる方法を選ぶことが大切です。
- クレジットカード払い: 多くのサイトで利用できますが、カード情報が漏洩した場合のリスクがあります。信頼できる大手サイト以外での利用には特に注意が必要です。カード会社によっては不正利用に対する補償制度がありますが、日頃から利用明細を確認する習慣をつけましょう。
- コンビニ払い: 注文後にコンビニで代金を支払う方法です。商品が届く前に代金を支払いますが、カード情報を入力する必要がないため、カード情報の漏洩の心配はありません。
- 代金引換: 商品が自宅に届いた際に配達員に代金を支払う方法です。商品を確認してから支払えるため安心感がありますが、手数料がかかる場合があります。
- 銀行振込: サイト側が指定する銀行口座に代金を振り込む方法です。個人経営の小さなお店などでは一般的な方法ですが、悪質なサイトの場合、振り込んでも商品が送られてこないリスクがあります。相手の口座名義などが会社名になっているか確認するなどの注意が必要です。
初めて利用するサイトや、少しでも不安を感じるサイトでは、コンビニ払いや代金引換など、クレジットカード情報を直接入力しない方法を選ぶことを検討しましょう。
個人情報の入力やパスワード管理について
インターネット通販では、商品の送付先情報や、会員登録のための情報を入力する必要があります。
- 必要最小限の情報入力: 求められる情報全てを入力する必要があるか確認しましょう。必要以上に詳しい情報を求められる場合は注意が必要です。
- パスワードの使い回しはしない: もしサイトで会員登録をする場合は、他のサイトで使っているパスワードとは異なる、推測されにくいパスワードを設定しましょう。パスワードを使い回していると、一つのサイトから情報が漏れただけで、他のサイトでも不正にログインされてしまう危険があります。
- パスワードを忘れない工夫: 複数のパスワードを覚えるのが難しい場合は、紙のノートに控えておくなど、ご自身が管理しやすい方法で安全に保管しましょう。ただし、そのノートは他人の目に触れないように厳重に管理してください。
怪しいと感じたら立ち止まる勇気を持つ
「これは本当に公式のサイトかな?」「届いたメールがおかしいな?」「頼んでいないのに請求が来た」など、少しでも不審な点や違和感を感じたら、そのまま手続きを進めずに一度立ち止まることが非常に重要です。
- メールやSMSで届いたリンクは安易にクリックしない。
- 「限定」「割引」といった言葉で急かされても、すぐに購入を決めず、サイトをよく確認する。
- 個人情報を入力する前に、もう一度サイトが安全か確認する。
「おかしいな」という直感は、大切なサインです。迷ったら、その場での手続きを一旦やめて、信頼できる家族や友人、あるいは消費者センターなどに相談しましょう。
もしもの時の相談先
インターネット通販でトラブルに巻き込まれてしまった、あるいは不安なことがある場合は、一人で悩まず、専門の相談窓口を利用しましょう。
- 消費者ホットライン 188(いやや!): 全国の消費生活センター等につながる共通の電話番号です。お住まいの地域の相談窓口を案内してもらえます。
- 警察相談専用電話 #9110: 詐欺などの被害に遭ってしまった可能性がある場合に相談できます。緊急性がない相談を受け付けています。
まとめ:安全に注意して便利なネット通販を楽しみましょう
インターネット通販は、正しく安全に利用すれば、私たちの生活を豊かにしてくれる便利なサービスです。
今回ご紹介したいくつかの注意点(サイトのURLや運営者情報の確認、支払い方法の検討、怪しい点に気づくことなど)を頭の片隅に置いておくだけで、リスクを大きく減らすことができます。
全てを完璧に行う必要はありません。「少しでもおかしいな」と感じたら立ち止まり、信頼できる情報源や相談窓口に確認する習慣をつけることが、何よりも大切な備えとなります。
この記事が、皆様が安心してインターネット通販をご利用いただくための一助となれば幸いです。