災害に備える ご自身の薬と健康のためにできること
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自然災害はいつ起こるか分かりません。地震や台風、大雨などによって避難が必要になったり、自宅での生活が困難になったりすることが考えられます。そのような「もしもの時」に、ご自身の健康を守ることは非常に大切です。特に、日頃からお薬を服用している方や、持病をお持ちの方は、事前の備えが欠かせません。
この記事では、災害時にもご自身の健康を維持し、安心して過ごすための薬の備えと、日頃からできる健康管理についてお話しします。
なぜ災害時の健康管理が大切なのでしょうか
災害が起こると、いつもの生活リズムが大きく変わります。食事や睡眠が不規則になったり、衛生状態が悪化したり、慣れない環境でのストレスを感じたりすることで、体調を崩しやすくなります。
また、病院や薬局がすぐに利用できなくなる可能性もあります。日頃から飲んでいるお薬が手に入らなくなると、持病が悪化してしまう恐れもあります。だからこそ、災害が起こる前から、ご自身の健康を守るための準備をしておくことが重要なのです。
災害時のお薬の備え方
日頃からお薬を飲んでいる方にとって、災害時のお薬の備えは最も大切なことの一つです。
1. 今、飲んでいるお薬の種類と量を確認する
まず、現在服用している全てのお薬の名前、飲む量、飲む回数を正確に把握しましょう。これは「お薬手帳」があればすぐに確認できます。
2. どのくらいのお薬を備蓄しておくべきか
一般的には、最低でも1週間分、できれば2週間分のお薬を備蓄しておくことが推奨されています。ただし、服用しているお薬の種類によっては長期保存が難しかったり、特別な管理が必要だったりする場合もあります。
3. かかりつけ医や薬剤師に相談する
最も安心なのは、かかりつけのお医者さんや、いつも利用している薬局の薬剤師さんに相談することです。「もし災害が起きて、しばらく病院に行けなくなったら、お薬はどうしたら良いですか?」と具体的に聞いてみましょう。災害用の多めの処方や、常備薬リストのアドバイスをもらえることがあります。
4. お薬の保管方法
お薬は、高温多湿や直射日光を避けて保管することが大切です。非常持ち出し袋に入れる場合は、品質が劣化しないように注意し、定期的に新しいものと入れ替えましょう(期限を確認してください)。自宅に備蓄する場合も、涼しい場所にまとめて置いておくと、いざという時に見つけやすくなります。
5. お薬手帳を大切にする
お薬手帳は、ご自身が飲んでいるお薬の情報を正確に伝えるための大切な記録です。紙のお薬手帳は、非常持ち出し袋に入れておくか、すぐに持ち出せる場所に保管しましょう。さらに、お薬手帳をスマートフォンのカメラで撮影しておいたり、お薬手帳アプリを利用したりするなど、複数の方法で記録を残しておくと安心です。
健康維持のためのその他の備え
お薬の備え以外にも、災害時にご自身の健康を守るために準備しておきたいものがあります。
- 簡単な医療用品: 絆創膏、消毒液、体温計、ガーゼ、包帯、常備薬(頭痛薬、胃薬、かゆみ止めなど、普段から使い慣れているもの)などを小さなポーチにまとめておくと便利です。
- 衛生用品: 感染症を防ぐために、アルコール消毒液、ウェットティッシュ、マスク、携帯用石鹸、簡易トイレと凝固剤などを用意しておきましょう。うがい薬も有効です。
- 体調管理に役立つもの: 体を拭くためのタオル、冷えを防ぐための毛布やカイロ、暑さ対策の扇子や冷却シートなども、季節に応じて備えておくと良いでしょう。
- 持病に関連する特別な物品: 人工透析を受けている方のための食事、人工肛門装具、血糖値測定器の消耗品など、日頃からご自身に必要不可欠なものは、多めに備蓄しておきましょう。
日頃からの健康管理も大切です
災害への備えは、特別なことだけではありません。普段からご自身の健康状態に気を配り、体力を維持することも大切な備えです。
- 軽い運動: 無理のない範囲で、ウォーキングや自宅でできるストレッチなどを行い、体を動かしましょう。
- バランスの良い食事: 災害時にも栄養が偏らないよう、日頃から様々な食品を食べるように心がけましょう。
- 十分な睡眠: 体を休めることも健康維持には不可欠です。
- 定期的な健康診断: ご自身の体の状態を把握しておくことは、いざという時の対応にもつながります。
また、地域によっては、災害時に支援が必要な高齢者や体の不自由な方を登録する制度(避難行動要支援者名簿など)があります。お住まいの市区町村に、そのような制度があるか確認し、必要であれば登録を検討するのも良いでしょう。
まとめ
災害は予測できませんが、日頃から少しずつ準備をしておくことで、ご自身の安心に繋がります。特に健康面や常備薬の備えは、ご自身の命と健康を守るために非常に重要です。
この記事でご紹介した「薬の備え方」や「その他の健康維持のための備え」を参考に、できることから一つずつ始めてみましょう。不安なことや分からないことがあれば、かかりつけのお医者さんや地域の相談窓口に遠慮なく相談してください。
ご自身の健康を守ることが、災害を乗り越えるための大切な力になります。