高齢者でも安心 避難所で知っておきたいことと事前の備え
はじめに
自然災害は、いつ私たちの身に降りかかるかわかりません。もしもの時、自宅で安全に過ごすことが難しい場合には、避難所に避難することも考えられます。特に高齢の方の場合、避難所での共同生活や環境の変化に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、高齢の方やそのご家族が、避難所で少しでも安心して過ごせるように、避難所に避難する際に知っておきたいことや、事前にできる備えについてご紹介いたします。
避難するタイミングと場所を知る
災害が発生しそうになった時や発生した時、いつ、どこへ避難すればよいかを知っておくことは非常に重要です。
避難のタイミング
テレビやラジオ、お住まいの市町村からの防災無線や広報などで、避難に関する情報が発信されます。これらの情報を常に確認するように心がけましょう。「避難指示」が出たら、安全な場所に速やかに避難してください。ただし、ご自身の身に危険が迫っていると感じた場合は、指示を待たずに避難を開始することも大切です。
避難所の種類と場所
お住まいの地域には、災害が発生した際に一時的に避難できる場所が指定されています。これを「指定緊急避難場所」といいます。小学校や中学校、公民館などが指定されていることが多いです。どこが指定されているかは、市町村から配布されるハザードマップや防災マップで確認できます。事前に場所とそこまでの安全な経路を知っておきましょう。
また、高齢の方や障害のある方、小さなお子さんなど、特に配慮が必要な方が安心して過ごせる「指定福祉避難所」が設けられる場合もあります。こちらも事前に確認しておくと安心です。
避難所に持って行くもの
すでに非常持ち出し袋を準備されている方もいらっしゃると思いますが、避難所でより快適に、安全に過ごすためには、いくつか追加で準備しておくと良いものがあります。
非常持ち出し袋に加えて準備したいもの(高齢の方向け)
- 持病の薬(最低3日分、できれば1週間分)とお薬手帳: 避難所ではすぐにお薬が手に入らない場合があります。医師や薬剤師に相談して、余裕をもって準備しましょう。
- 常備薬や衛生用品: 使い慣れた絆創膏、消毒薬、かゆみ止め、入れ歯洗浄剤、眼鏡、補聴器とその電池など。
- 感染症対策グッズ: マスク、アルコール消毒液、体温計、ウェットティッシュなど。避難所では多くの方が集まるため、感染症対策は特に重要です。
- タオルやブランケット: 体温調節に役立ちます。夏場は汗を拭くため、冬場は寒さ対策に。
- 着替え: 数日分の下着、靴下、動きやすい服。
- スリッパまたは室内履き: 避難所内を移動する際に役立ちます。
- 小型のクッションや座布団: 床に座ったり、寝る際に使用すると体が楽になります。
- 耳栓やアイマスク: 避難所では騒がしかったり明るかったりすることがあります。安眠のために役立ちます。
- 携帯ラジオや予備の電池: 最新の情報を得るために役立ちます。
- 簡単な筆記用具とメモ帳: 伝えたいことや必要なものを書き出すのに便利です。
- お気に入りの本や雑誌: 気持ちを落ち着かせ、時間をつぶすのに役立ちます。
- 家族の写真や連絡先: 精神的な支えになります。
持ち出し袋は両手が空くリュックサックなどが適しています。体力に不安がある場合は、一度にすべてを持ち出そうとせず、分散させたり、キャリーカートを活用したりすることも検討しましょう。
避難所での過ごし方
避難所では多くの方と一緒に過ごすことになります。いくつかの点に注意して、できるだけ快適に過ごしましょう。
プライバシーの確保
避難所では広い空間で過ごすことが多いため、プライバシーが気になるかもしれません。着替えの際は、パーテーションや毛布などで隠すなどの工夫が必要です。また、簡易テントやダンボールなどで自分だけのスペースを確保できる避難所もあります。
体調管理と感染症対策
集団生活では体調を崩しやすくなります。 * こまめに手を洗い、アルコール消毒液を活用しましょう。 * マスクを着用し、咳エチケットを守りましょう。 * 十分な水分補給を心がけましょう。 * できる範囲で体を動かし、血行を良くしましょう。座りっぱなしや寝たきりは体に負担がかかります。 * 持病がある方は、規則正しく服薬し、体調の変化があれば遠慮なく医療支援者に相談してください。
食事とトイレ
避難所では食料や水が配給されますが、内容に偏りがある場合もあります。アレルギーや持病(糖尿病など)がある場合は、事前に市町村に情報を提供しておくと、可能な範囲で配慮を受けられる場合があります。また、持病に対応した食品を少し準備しておくと安心です。
トイレは共同で使用します。清潔に保つために協力し、利用後は手洗いを徹底しましょう。段差や滑りやすい場所がある場合もあるので、足元に注意が必要です。
周囲の方とのコミュニケーション
避難所では様々な方が生活しています。お互いに助け合い、気持ちよく過ごすためには、あいさつや簡単な声かけが大切です。困ったことがあれば、一人で抱え込まず、周囲の人や避難所の運営スタッフに相談してみましょう。
事前に家族と話し合っておくこと
もしもの時に、遠方に住む家族が安心できるよう、事前に連絡方法や避難場所について話し合っておくことは非常に大切です。
- 安否確認の方法: 災害伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板(web171)の使い方を確認し、家族で利用方法を共有しておきましょう。携帯電話会社が提供するサービスもあります。
- 集合場所: 離れ離れになった場合にどこで落ち合うか、複数の場所を話し合っておくと良いでしょう。
- 避難先: 自分がどこに避難する可能性があるか(自宅、親戚の家、避難所など)を家族に伝えておきましょう。
- 連絡が取れない場合のルール: 災害時は電話が繋がりにくくなることがあります。連絡が取れない場合は〇日後に再度試す、といったルールを決めておくと、お互いの安否を心配しすぎることを減らせます。
まとめ
災害時の避難所での生活には不安がつきものですが、事前に情報を知り、備えをしておくことで、その不安を和らげることができます。避難所の場所や持って行くものの準備、そして避難所での過ごし方を知っておくことは、ご自身の安心につながります。
また、遠方に住む大切なご家族と、もしもの時の連絡方法や避難先について話し合っておくことも忘れないでください。これらの備えが、いざという時にきっと役に立つはずです。この記事が、皆様の備えの一助となれば幸いです。